雨のち晴れ




なに…これ?

私は鼻のあたりが一気に熱くなるのを感じた。


「マスター…?意味わかんないよ、これ、何…?」

涙がポロポロとこぼれた。

肩がガクガクと震えた。


引き払うって何――?

もう会えないって何――?

今はまだ言えないって何――?


「嘘だよね、嘘でしょ…?」

ねぇ、マスター、お願い、何か言ってよ。


「…っ」

嫌だよ、私を1人にしないで。

もう、誰にも裏切られたくないよ。


だってマスターはそんな人じゃないでしょ…?


これからもマスターの傍にいたいよ。

私にとって、マスターは大切な人なんだよ?


「夢だよね、何のいたずらよ…」

どうして、なんで…


長年抱くことのなかった悲しみという感情。

その感情が私の心を覆い尽くす。


嫌だ、嫌だ、嫌だよ…


私はどしゃ降りの雨の中、子どものように声をあげて泣いた。

雨は強くなる一方だった。