「本当、自分じゃないみたい。」
「……。」
「でもさっき正樹に会って、やっぱり正樹を信じたいって思ったの。正樹の言葉が嘘だなんて思いたくない。今までの日々のことも、全部何もかも…」
チクタクと時計の秒針が響いた。
「ごめん、くだらないこと聞いてもらっちゃったね。さ、帰ろう。」
「くだらなくなんかないです!」
絵里は首を何度も横に振り、力強く言った。
「森岡さんは紗子先輩のこと、そんな裏切り方なんてしないと思います。根拠はないですけど…でもきっとそんな人じゃない。
今まで森岡さんと紗子先輩のことを傍で見て来た絵里だからこそ、そういうの、なんていうか、あー!上手く伝えられないけど!」
頭を必死に抱える絵里が、可愛く見えた。
「ありがとう、絵里。」
私はそう言った。
もちろん正樹もだけれど、間違いなく絵里がいるから今の私がいる。
「なんか、元気出たよ。」
「先輩…」
「泣くな~ありがとね。」
「絵里は先輩の一番の見方で友達で親友です!!」
そう言って抱き付いてきた絵里を今度は交わさなかった。
正樹だって、心を開かなかった無愛想な私に必死に食らいついて、諦めないでいてくれた。
だったら私もそんなことで落ち込まないで、ちゃんと信じないと……ちゃんと。

