「…じゃない」
「え?」
私はレジから身を乗り出した。
「迷惑なんかじゃない。」
私はそう一言だけ言った。
そんな私を見て、正樹は切なそうに笑った。
そして、私の頭にポンと手を置いた。
正樹の温かい手。
「俺はいつだって紗子に会いたんだからな。」
「……。」
「紗子がいるから、このクソ忙しい仕事も頑張れる。
俺にとって、ここへ来ることは大変なんかじゃない。紗子から元気をもらいに来てるんだからな。」
「……。」
「だから、紗子に拒絶されちまったらもう俺、そこら辺でのたれ死んでいるよ。」
「ま…さき…」
「迷惑じゃねぇなら、俺、これからもいつも通り来るからな。まぁちょっと年内は忙しくて来れねぇときもあるかもしれねぇけど。」
「うん…」
そして正樹は私の頬をそっと触った。
「紗子、お前は一人じゃない。」
「え?」
「俺がいるから。何かあるならちゃんと言えよ。」
「……。」
真っ直ぐ見つめてくる正樹の瞳。吸い込まれそうになる。
「な?」
「うん…」
私は小さく頷いた。

