雨のち晴れ



1番辛いのは俺じゃない、伯父さん自身なんだ。
そして、大切に思っている朝比奈さんを残してしまうこと。

伯父さんの気持ちが、封筒からひしひしと伝わってくる。
きっと本当に大事な子なんだろうな。

思春期を育て上げたようなもんだもんな。

「分かりました。」

「ありがとう。」

「でも、伯父さん…」

俺は伯父さんの瞳を真っ直ぐに見つめた。
相変わらず穏やかな瞳をしている。

「最後まで諦めないでください。」

「正樹…」

かすかに伯父さんの瞳が揺らぐ。

「朝比奈さんだって、もちろん俺だって。伯父さんのことを必要としている。だから簡単に———死ぬだなんて…最後まで、1日でも必死に生きてください。」

俺は思いの丈をぶつける。
言葉にすることで、実感が更に増すことが苦しかった。

「ありがとう、正樹。」

「伯父さん…」

「僕は幸せ者だよ、こんな風に言ってくれる人がいるだなんて。本当に幸せだ。」

伯父さんは優しく微笑んだ。

癌を患っているだなんて信じられないほど、穏やかで落ち着いた表情だった。

「ちょうど来週から紗子、大学のレポート仕上げるためにバイトお休みするんだ。」

朝比奈さんがその休んでいる間にお店を引き払うのか、と思うだけで胸が痛い。

「今週1度覗きに来てごらん。」

「え?」

伯父さんは肩をすくめて笑った。