「傲慢な言い方かもしれないけれど、紗子は強がって見せていて、僕を頼って毎日暮らしていると思うんだ。
僕とこのお店があれば何もいらない、そんな風にね。
だからもし、僕が死んだなんて知ったら、あの子もあとを追いかねない。それだけは絶対に避けたいからね。」
「……。」
「だから死ということは、今はまだ絶対に伝えたくないんだ。あの子が精神的にもしっかりと大人になるまでは。」
「今は、ですか。」
「うん。むしろまた会えるという含みを持たせて、希望を持って生きてもらいたい。
そして、あの子が大人になった時、すべてのことを正樹に伝えてもらいたい。」
「俺が…」
俺は言葉を再び詰まらせる。
俺がそんなこと伝える権利があるのだろうか?
そもそも、そんなこと、朝比奈さんが受け入れるのだろうか?
「いや、正樹の口からじゃなくてもいいように、手紙を渡してほしい。それで全てがわかるようにしてある。」
そう言って、伯父さんは1つの封筒をテーブルの上に置いた。
「この手紙にすべての真実を書いたんだ。」
水色の綺麗な封筒だった。
「こんなこと、正樹に頼むこと自体が間違っていることも分かっている。けれど、僕には頼る人がいないから、ね。…本当に申し訳ない。」
そう言って伯父さんは頭を下げた。
「お、伯父さん…やめてください。頭上げてください。」
俺は慌ててそう言った。

