雨のち晴れ



しばらく沈黙が続いた。

俺は何も言葉が出なかった。

今ですら信じられない、そんなこと受け入れろっていう方が無理な話だ。

挙げ句の果てに、もう手遅れだなんて…

今、俺の前で温かい雰囲気を醸し出している伯父さん。
その温かさが無くなるとでも言うのか?

「ごめんね、正樹。」

伯父さんの声はやっぱり温かかった。

「伯父さん…俺、何が何だか…」

「こればっかり運命だから、仕方ないね。抵抗なんて出来ないさ。」

「怖くないんすか?だって…」

〝死〟という言葉をとても口にすることは出来なかった。
あまりにも残酷過ぎる。

「そうだねぇ、怖くないと言えば嘘になる。けれど、それよりも紗子が心配かな。もちろん、正樹だって同じ。でも彼女はまだ幼いからね。」

それだけ、その子のことが大切なんだね。

まるで家族のような、そんな愛情。


「その子…朝比奈さんにはなんて?」

その時、やっと少しまともなことが聞けた。

伯父さんは首をゆっくりと横に振った。

「紗子には何も言わないつもりだ、今はね。」

「えっ…」

「お店のことも、癌のことも、何もかも。紗子には申し訳ないけれど、何も言わずに去ろうと思う。」

「そんな、どうして?」

何も言わずに去るだなんて。それはそれで、酷い話ではないか。

俺はなぜ?という目で伯父さんを見つめる。