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「ご無沙汰しております。」
伯父さんとの約束の日。
CLOSEとなったお店のドアをゆっくりと開けた。
2年経っても変わることのない落ち着いた雰囲気のお店。
やっぱり伯父さんの趣味はとても好きだと改めて思う。
「やぁ。」
伯父さんはちょうどコーヒーを淹れていた。
「そろそろ来る頃かなって思って。」
2年ぶりの伯父さんは、少しだけ痩せているようにも思えた。
「お久しぶりです、お元気でしたか?」
「ぼちぼちやっているよ。」
伯父さんに促され、テーブル席に向かい合って座った。
この妙な緊迫感はなんだろう?嫌な気分しかしない。
伯父さんに会えて嬉しいのに、どこかモヤモヤした気分だった。
気を紛らわすかのように、コーヒーを飲んだ。
あ、伯父さんのコーヒーだと懐かしい気分になる。
「突然ごめんね。」
「いえ、とんでもないです。伯父さん、少し痩せました?」
「ははは、もうおじいちゃんだからね。」
「何言ってんすか。まだ40代入られたばかりじゃないっすか。」
伯父さんはニコッと微笑むが、その笑顔はとても弱々しいものだった。
「今ね、2人目のバイトの子をとっているんだ。」
「えっ、そうなんすか!」
不意に伯父さんが話し始めた。
「もうずいぶんと見てる女の子なんだ。今ね18歳、大学1年生。朝比奈紗子っていう子。
紗子と出会ったのは正樹が辞めた年の秋。まだ紗子は中学3年生。雨の強い日でね。お店の軒下で雨宿りをしていたの。声を掛けるのも迷惑かもしれないし、そのまま雨宿りをさせようかとも思ったんだけど、なかなか止みそうになくてね。
何より、小さな小さな背中が悲しみで溢れている、そんな風に僕には見えてね。」
「悲しみ…」
「そう、放っておくことが出来なかったんだ。」
マスターは遠い目をしながら話した。

