何回も言うように、私は今まで一度も

外に出たことがない。

だから今日というここから出られる日を

心待ちにしていた。

やっとやっと出られるんだ

今までにないほどの感動と喜びが

私の心を満たしていく。


でも、どうやって出るのだろう?

扉には鍵がかかっているし…

「ねぇ、どうやって出るの?」

すると少年は不敵な笑みを浮かべ

持っていた肩がけの鞄から長い

ロープを取り出した。

「ま、まさか…」

私にそのロープで窓から降りろと?

そんなの絶対に無理!!

私は臆病者なんだから!

「絶対に無理ですからね!」

「大丈夫だって」

そう言われながら結局降りることに…

「絶対に離さないでくださいね!」

「離さないから大丈夫」

し、下は絶対見てはダメ見てはダメダメだ…

わかっていても見てしまう

だ、ダメだ怖くて降りれない

「あー、もう仕方ねぇな!」


ガシッ


「きゃあぁっ!?」

ニックはいきなり私の腰に手をまわし

担ぐようにして私を持ち上げた。

な、何これ恥ずかしい
 
「や、やめて!降ろしてください!!」

私はジタバタ足を動かした

「ちょっ!?暴れるなよ!」

「だって…」

「やばい、落ちる!?」


「きゃあぁぁぁぁっ!?」

やだ、こんなところで死ぬなんてやだ!

神様女神様、お願いします

私を助けてください!!



ドンッ


「あ、あれ?痛く…ない」

何で?あんな高さから落ちたのに

まるで体が浮くようにふわふわしてた

「大丈夫かエイプリル?」

「えぇ、何ともないわ。」

おかしいわ、普通なら即死レベルなのに

「なぁ、さっき落ちるときお前の目…」

え、私の目?

「右目が黄色になってた…気がする」

「黄色?何かの見間違いではないの」

「まあ、いいわ!無事に出られたんだし」

「そうだな」




そう、無事に…ね