今までは食事を下から運んでくる

メイドと勉強を教える先生しか

来たことなかったのに。


この子一体…だれ?

「いきなり叩くことないだろぉ~」

え、まぁ叩いた私も悪いけど

いきなり現れたあなたも悪いと思わないの?

「ご、ごめんなさい」

「仕方ない、許す!」

「そ、それよりあなたは一体誰なの?」

身なりもあんまり良いとは言えないし

新しい教育係ではなさそうね。

「え?俺はニック、ニック・バッセル」

「何処から入ってきたのですか?」

「えーと、ま、窓から…かな」

ま、窓から!?

20m超えのこの塔をどうやって?

「俺、木登り得意なんだ」

「そ、そうなのですか…」


のぼ、のぼ登って来たのですかこの塔を。


「あ、そういえばあんたの名前は?」

「わ、私はエイプリルです。」

何でこんな人に名前を教えてるの私

「エイプリルかぁ、いい名前だな」

な、なな名前をほめたって

騙されないんですからね!!


でも…あの黄金色の髪に瑠璃色の瞳

「…綺麗ね」

「ん、なにが?」

わ、私ったらつい!?

「何でもありませんわ!」

本当に私の赤毛とは大違いね。

私には合わない派手な色


「そーいえばお前の目、片方ずつ色が…」

「あぁ、これは生まれつき右目だけ緑で

 左は水色のなの」

ずっとずっと塔にいるから誰にも

言われなくて忘れてたわ。


「で、結局あなたは何のために来たの?」

「俺はお前に会いに来たんだよ」

え、私に?

「何で?」

「お前が寂しそうにずっと空を見上げてた

 から何となく出たいのかなって」

す、ストーカー?

…ではないか。

でもこの人について行ったら

外に出られるのかな?

「ねぇ、私をここから出してくれる?」

「もちらん!さぁ、行こう」


こんなに胸が高鳴ったことはない

まるで白馬の王子が私を助けに

来てくれたかのよう。



このまま外に出られたら何をしようかしら