夏休みなっても、私は部活のために毎日学校に来ていた。
半そで短パン姿でひたすら走る。
何週走ったかなんてとっくの昔に忘れる。
ただ走る。
走るのは好きだった。誰かが止めるか、部活が終わるまで私は走るのをやめることはない。
そのくらい好き。
これは本当。
彼も夏休みは学校に来ていた。
姿なんて見えなくても、校舎から聞こえてくるトランペットの音でわかる。
もっとも私にはそれがトランペットの音なのか、それとも違う楽器の音なのかわからないけど。でもフルートではないことはわかる。
私は朝の七時には来て、アップランを始める。
その間に次々と部員達が来る。
九時を回ると、校舎から吹奏楽部の鳴らす楽器の音が聞こえ始める。
そして十二時に休憩。
私はその間に売店へ走る。
夏休みでもやっているのは正直助かる。私はお父さんがいない。だからお母さんは働いている。そのためか、お弁当を作ってくれない。
「忙しいのよ」とお母さんは言うけど、基本的にお母さんは面倒くさがり。
その後、大体三時くらいまで部活はやる。
その頃には吹奏楽部も部活が終わっている。
だって音が聞こえない。
夏休みは一度も会わなかった。
それでも、その頃はなんとも思わなかった。たぶん。
そして、そのまま二学期。