彼の部屋で彼は壁に寄りかかって座っていた。私はその隣で少しだけ彼に寄りかかって座っている。
 彼の着ているシャツは汗で濡れていなかったけど、それでも少しだけ男の人のにおいが、彼のにおいがした。
「もうすぐ電車が出る時間だよ」
 彼がそっと言う。
「うん」
 私は頷く。だけど動かない。
「もう少し隣にいていい?」
「僕の?」
「うん」
「いいよ」
 私は彼の肩に頭を預ける。そして目をつぶる。
「ずっと、」
「ずっと?」
「ずっと隣にいていい?」
「君がよければ」
 私は彼を見た。彼も私を見る。
 それから、
 キスをした。
 そして、それから、
 それから、