『さぁ、もう少しでご飯できあがるからそれまで、二人で仲良くしてなさいね!』

『……って、俺ら何歳なんだよ!』


『あらやだっ笑
何歳だったかしら??』

『……16だしっ!おぼえてろっ!』

『あら聞いただけで忘れたなんていってません~』


あいかわらずな二人を見ながら笑う

ほんとに。なかがよくて、いつも楽しそうな素敵な家族。


私が……いつも夢に見るような家族。


お父さんがいて、お母さんがいて、その子供たちはいつも楽しそうに、幸せそうに笑ってる。


……私が手にできなかった家族。



小さい頃から
みんながうらやましくてしかたなかったんだ。


『……結奈?どうした?』

顔をあげると、心配そうにこっちを見る日向がいた。

『え……?何?私……なんとも』


そう言ったとき、そっと日向の手が頬に触れた

『なんで……泣いてる?』


そういわれてはじめて気づいた


『……っ……違うのっ……なんでもない』


そう言ったのに……


『母さん』


ほっといてくれてよかったのに


『ちょっと2階いってくるから、できあがったらよんで!』


そんなふうに


『わかったよ~』

『ほら、いくぞ。』


心配しなくても大丈夫だよ。



そう、心の中で思っていても
体は正直で前を歩くひなたの背中を追って歩き始める