「ったく、マジありえねぇから...」
そう言ってわざとらしくため息をつく稲元くんの右手には、
ほうき。
「ごめんね、結局、罰掃除一緒にさせちゃって」
そう、あの後先生は稲元くんに罰掃除を二人でするよう言ってきたのだ。
「いや...気にしてないし」
「優しいんだね、稲元くんって」
ふいに言ったわたしの一言で、稲元くんが真っ赤になった。
「はっ..はぁ!!?」
うわ、本当に真っ赤だ...!
ちょっと可愛いかも...!
「かっ...かわいい!」
稲元くんがもっと真っ赤になる。
「坂本さぁ...ちょっと褒めすぎ」
怒られた..!?
「ご..ごめん!」
「いや、謝ることじゃないし!」
いやいや、
そんな笑顔見たら誰だって可愛いと思うでしょ。
そう思っていたら。
「そういうの、他の奴には言ったことあんの?」
「なっ...ないよ!稲元くんが...!」
「..初めて?」
顔をのぞきこんできた!!
「きゃっ!?そ、そうだけど...」
「...けど?」
「そんなに見つめられたら恥ずかしいよ..」

