「和樹、大丈夫かな…。」
部屋に戻っても、和樹の心配をし続ける珠璃に、俺は少し苛立ちを感じていた。
「大丈夫だろ。大輝がついてるじゃねーか。」
「そうだけど…。なんか、胸騒ぎがする…。」
「いつも言って…。」
「いつもと違うのっ!」
俺の声を遮って、珠璃が叫んだ。
「おっ…、落ち着けって…!」
俺は慌てて珠璃の左隣りに座った。
「違う…!いつもと…!恐い…!恐い…!違う…!違うのっ…!」
珠璃は頭を抱え込んで、一言一言、声を震わせながら言った。
恐怖心からか、泣いている。
「…。」
俺は驚かせないように、そっと右腕を回して、珠璃の右肩に手を置いた。
肩は、見た目以上に震えていた。
「珠璃…。」
「ねぇ、賢也…。どうしよう…。」
珠璃が顔を上げ、真っ赤になった目で俺を見上げた。
「アタシ…、どうすればいいの…?どうすれば止められる…?みんなが死んでいくなんて…、ただ見てるだけなんて…、もう嫌…!嫌だよ…!」
珠璃は泣きながら訴えた。

ただ、泣きながら。