―ガチャッ!
「ハァッ…!ハァッ…!ジェームスさんっ!」
部屋に着いた頃には、アタシも賢也も息が上がっていた。
「二人共っ…!そのひ…?」
「葉奈!」
アタシはダニエルが言い終わる前に叫んだ。
「ジェームスさん、早く看てあげて下さい!胸辺りを怪我してるんです!アタシが寝る前に…、夢を見る前に!早く!」
「分かった!エレナ!」
「はい。賢也さん、こちらへ。」
葉奈を背負っている賢也が呼ばれた。
「はいっ…。」
「このベットにその方を寝かせて下さい。」
エレナさんが指差したのは、アタシのでもない、賢也のでもないベットだった。
「ジェームスさん。あのベットって誰のですか?」
「あれは余りのベットだよ。ダニエルの部屋にあったんだ。ダニエルが持って来てくれたんだ。」
「そうなんですか。ダニエル、ありがとう。」
「…おう。」
「アタシが寝る前に元気になるかな…?」
「大丈夫だ。きっと助かる。」
「…うん。」
アタシは自分のベットに腰掛け、手を組んで、ただ、葉奈が助かるように願った。