カタカタ口が震えている。

8月だというのに、寒いのか明美の腕には鳥肌が立っていた。

私は両腕で優しく母を包み込んだ。

「大丈夫。大丈夫だから。ね。。何があったの?」

明美は"あの子に近付くな"以外頑なに言おうとしない。

「あの子って誰のこと…?」

私の最後の質問に、母は声にならない声で言った。

「ト…キ…ト…ウ …ケ …イ …タ」