次の日。

朝から会議。

いつもの運転手がやってくる。


「おはようございます。」


「おはよう。」


いつもの会話。

ネクタイをいつもよりきつく締め上げた。


昨日の一姫の笑顔を思い出す。
自然と顔が緩む。


「どうかいたしましたか??」


俺は我に返って車に乗り込んだ。


黒服の運転手がエンジンをふかした。



突然浮かんだ一姫の言葉。


「人の気持ちを考えなさいよ!!」

そういって迷子を担ぐ姿。



黒服の運転手。
どこかいつもよりやるせない。


「止めろ。」



「は??」


「止めろって言ってるんだ。」


車は慌てて道のはじに止まった。


「どうかいたしましたか!?」

黒服の額には大量の汗。