おやじは腰を低くしたまま情けない声で言う。



「今日も社長に聞いていただきたい融資の件がありまして、いつものキャバクラのほうに予約を入れたのですが、お願いできますでしょうか。」


「あぁ、いつもの二倍の女つけといてくれ。」



俺は鞄を持ち、ネクタイをはずした。
ピアスをはめようと棚に手をのばした。



その時…。




『出来る男はキャバクラには行きません!!』



俺の頭に突然浮かび上がった一姫からのメール。

俺は棚から手を離した。



「やっぱり今日はキャバクラには行かない。ここまで資料を持ってきて担当を呼べ。」




俺…どうかしてるぜ…。


あんな女に振り回されやがって…。




おやじと秘書はこれまでにない驚いた顔をみせた。

しかしすぐに頭を下げて出ていった。



すぐに担当が来て、いろいろな話をされたが、俺は適当に話を聞いてただ頷いた。