軟派な王子様【完結】

「夏休み最後の日なのに…。」



その言葉が今の私の胸を締め付ける。


「そうだね。」

時計を見る。


9時をさしていた。


私はぎゅっと目を閉じて時計から目を離した。
その時、私たちの目の前を通った女の子達の声が耳に入った。


「花火中止だってぇ。最悪!!」


私と昇君は思わず目を合わせる。

「残念だったね。」

「うん。」


私たちは暫くその場で立ち尽くした。


沢山の人が前を通る。
一人一人それぞれにブーブー文句を言いながら帰っていく人達だ。


「ねぇ、花火しよっか。」

「え??」


私たちはコンビニで花火をかい、公園の藤棚の下で火をつけた。
ここなら雨がしのげる。



さっきまで悲しそうな顔をしていた昇君もぱっと輝く花火に、目を輝かせた。

私は公園の中央にある時計に目をやった。



10時。


「線香花火やろう。」

「あっ、うん。」


私は手渡された線香花火に火を付ける。

はかないほど小さな火花がぱちぱちと音を立てて散っていく。


先端の球が段々と膨れて、そこからまたいっそう賑やかな音を立てる。