軟派な王子様【完結】

花火は9時から。


もちろん、今昇君の隣を歩いているということは、私は翔のところへは行かない。

私は、翔とのゲームに勝たなきゃいけない。


花火前の大通りには夜店が沢山立ち並び、賑わっている。


「何か食べる??」

「うん。」

私は無理矢理笑顔を作った。

「じゃあちょっと待ってて。なんか買ってくる。」

「ありがとう。」



私は昇君と夏の最後の花火を見て過ごすって決めた。

だから…


だから翔のことを思い出しちゃいけない。


「たこやき。」

昇君が私に差し出した。

「おいしそー。」


私たちは花火が見える場所まで移動した。


タコ焼きを頬張り始めた時だった。

「あっ雨…。」


タコ焼きの上にぽつぽつと雨が染み入った。

「どっか入ろう。」


天気予報は当たってしまった。
小さな店の屋根の下で雨宿りをしながら空を見上げた。


「あいにくだったね。」


私より、昇君のほうが悲しそうな顔をして雨を睨んでいた。