軟派な王子様【完結】

「お母さん。浴衣出しといてー。」


明日はいよいよ夏休み最終日だ。

私は久しぶりのオフを過ごしていた。


気になるのは明日の夜の花火大会のことばかり。


「あんた明日の花火大会行くの??」

「うん。」

お母さんが戸棚の奥の浴衣の箱を引っ張り出しながら言った。


「明日は夜、雨が降るかもっていってたけど大丈夫かしらね。」


私は天気なんかより気にすることが沢山ありすぎて、雨の話など、聞き流していた。

「ふーん。」


その時、携帯のメール着信音が鳴った。
そういえば明日の待ち合わせ決めてない。

昇君からだろうか。

「……!?」


翔…。



『明日、午後九時。神社で待ってる。』

そしてふと気付く。

翔との別れの日は明日だと…。



なんでこんなに胸が痛いんだろ…


思わず胸の辺りを強く掴んだ。
鼓動が速くなっている。

でも…


体は正直になれなくて、返信も返せなかった。