軟派な王子様【完結】

昇くんは本当に心底驚いた顔をした。
私も実は今の自分の言動に驚いている。


ヤケも少し入っていた。


でもそれ以上に私は翔が最初からいなかったことにしたかった。



暫くの沈黙の後、昇君が震えた声を振り絞るように出した。



「ほんと…に…??」


まだ昇くんの顔は驚いたままだった。

私はゆっくり頷く。


すると昇君は一気に顔を紅潮させて叫んだ。


「やっ…やったぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーー!!」


そんな取り乱した昇君を見たことがなかった。
顔はただただほころび、大きな口を開けて笑っていた。


電車の中。
周りの人は突然騒ぎだした昇君に大注目だった。

私は立ち上がって喜ぶ昇君を落ち着かせようとした。

それでも暫く、昇君の歓喜の声は止むことがなかった。




これでよかったんだよね。

これでよかったんだ。




私は後悔なんてしない。

昇君はこんなにいい人何だもの。
私が不満に思うことなんて何にもない。



じゃあどうして…




じゃあどうして私の胸にもやもやしたものがあるの??