夜道をひとり、自転車でいく。
ライトをつけて、坂でもないのに立ち漕ぎなんかしながら。
ビュンビュン飛ばすと、ほてった頬に風が当たって気持ちよかった。
赤信号で減速して、スィーと片足をついて停まる。
藤沢くんがあんなことを思っていたなんて、全然知らなかった……。
こんなわたしのどこを好きになってくれたんだろう?
思い当たることなんて、何ひとつない。
あんなに真面目で親切でしっかりした藤沢くんに想われるなんて
こ、光栄だ……。
きっとお互いを高められる相手。
藤沢くんとは、たぶん考え方も環境も似ている気がする。
つまんないわたしを優しくフォローしてくれる人。
弱虫なわたしを引っぱってくれる人。
安心して任せて大丈夫。
きっとわかりあえる……。
でも……。



