今夜、きみの手に触れさせて



「えっと……、受験が済んだら告白するから」




「えっ、誰に? 何を?」


ビックリして聞き返したら、真剣だった藤沢くんの顔が、急に照れくさそうに崩れた。


わたしがあんまり鈍いから、吹き出しちゃったみたい。




「月島さんに。好きだって」




え―――っ
え―――っ
え―――っ




「い、今のは告白じゃないの?」


「今のは予告編。


キミの受験の妨げにはなりたくないし、

こっちはきっとOKでも断られても、普通じゃいられなくなるだろうから……。


受験が済んだら、あらためて申し込む。返事はそのときにくれる?」



藤沢くんはとても真面目にそう言ってくれた。



「は、はい」


あまりのことに、そう答えるのがやっと。




男子にこんなこと言われたの初めてだもん。


どんな顔をしてたらいいのか、わかんない……。




「じゃあ、お互いに受験がんばろうな」


別れる前に藤沢くんはそう言って笑ってくれた。