今夜、きみの手に触れさせて



教室に戻って律ちゃんに話したら、


「うん。翔子ちゃんって優しいよね~」


って笑った。




聞いたら、律ちゃんも今はもう矢代くんの部屋には、ほとんど行ってないらしい。


それでもたまに顔を出すと、翔子ちゃんはいつでも歓迎してくれるんだって。




意気地なしのわたしは、あの日の出来事にはふたをしちゃって、なかったことにしてしまったのに。


翔子ちゃんは、あんなつまんない会話をずっと覚えていてくれたんだ。




なくはなかったんだよね?


あの日のことは、ちゃんとあったんだ。


手のひらにまあるく咲いた黄色い花が、


翔子ちゃんがくれたその証。




勝手に見下されてると思い込んで


『苦手』って片付けて

『別世界』だって逃げ出して


はぁー、わたしってホントにダメだ……。




自分の弱さを思った。