今夜、きみの手に触れさせて



北見くんは、大事な友だちの話し相手に、

ほかの誰かを探すんだろうか……?




もっと矢代くんに似合う、大人っぽくてキレイな子。

いつでも楽しく話題を振れて、矢代くんの気分をあげられる人。

彼を学校へ行く気にさせられる子。




わたしとは少しもかすってないや。


全然別のタイプの女の子――。




ブンブンと首を横に振る。


もう考えるのはよそう。


暗くなるだけだ。




何もなかったんだもん。

何も考える必要はない……。




胸の奥にある痛みとともに、わたしは昨日の出来事にふたをして、心の奥底に沈めた。




間違ってふたを開けてしまわないように、


沈めたこと自体を忘れようとした。