今夜、きみの手に触れさせて



「矢代くんが学校へ来ないから、心配なの?」


「ああ……。あいつだんだんしゃべんなくなるしさ」




そんな矢代くんを何とかしたいんだよね?


だから勝手にわたしを指名して、グイグイ話を進めちゃったんだ。


北見くんの思いはわかったけども、これはやっぱ人選ミスだと思う。


わたし、矢代くんの話し相手なんてできないもん。




「あの、わたしね……ホントに苦手なの。話すのヘタだし。だからゴメンね、他の人に頼んで」


わたしがそう言うと、北見くんはガックリとうなだれた。




「そっか。ムリか……」


「そりゃそーだよ、修吾に頼まれたって、当の純太がどう思ってるのかわかんねーのに、行けないよなぁ?」


ヤスくんがそう言って笑った。




ホントにそうだ。


こんなんで調子に乗ってのこのこ出かけて行ったら、またキョトンとされちゃうよ。