「ああ、小川翠にはオレから話しとくよ。オレが月島に頼んだんだってことも、純太とはまだなんにも始まってないってことも」
北見くんはそれから、少し困ったように打ち明けた。
「月島が純太の話し相手になってくれるといいなぁって思ったんだけど」
な、なんでわたし?
ムリだよ。
だって矢代くんといると、ドキドキしてしゃべれなくなるもん。
「に、苦手なの、話すの」
とりあえずそう言った。
「北見くんは、わたしが律ちゃんの友だちだから、こんなこと頼むの?」
「うん、まぁ、律の友だちなら帰りに一緒にあの部屋にも来てくれるかもなー、なんて思ったのは確かだけど……。
でも月島のこと、いいやつだと思ったからだよ。真面目そうだし」
北見くんが鼻の頭を掻いた。
う、真面目……か。



