今夜、きみの手に触れさせて



「そ、そんなこと矢代くんが求めてないから……」


口ごもりながらそう答えると、北見くんはとってもマジな顔で言った。


「いや、とりあえず純太の気持ちは置いといて……月島的にはどうかな? 友だちとして話し相手になるくらいなら、いい?」


えっ、顔はマジだけど、言ってることはとってもヘン。




「えっと、矢代くんの気持ちを置いとく意味が、よくわかんない……」


なんとかそう伝えたら、ヤスくんが笑った。


「だよな~?」


律ちゃんも北見くんをたしなめる。




「どういうことなの、修吾……。青依は小川さんたちに誤解されて、イジメにあうかもしれないんだよ?

わたしたち、今から小川さんのところに話しに行こうと思ってるの。

『矢代くんとは無関係だから』って言いに行くんだよ?」




おお、律ちゃんはいつのまにか北見くんのことを『修吾』と呼んでるようだった。


そうして、小川さんの件では、わたしのことを本気で心配してくれている。