今夜、きみの手に触れさせて



矢代くんとはなんでもない。


あれが始まりで、あれが終わり。



頭でリフレインしてしまうのは、

え~と、非日常的なことが起こったから、忘れられないんだ、きっと。



思い出して、ドキドキするのは……

う~ん、それはなんでなのか、ちょっとわかんないけど……。




「小川さん何組だっけ?」


昼休みに話しに行こう。矢代くんとはなんでもないって言うんだ。


「3組か4組だったと思うよ。行くなら一緒に行くからね」


律ちゃんが笑ってくれた。






そして昼休み――。


隣同士並んだまま机をくっつけて、律ちゃんとお弁当を食べる。


このあと小川さんのところへ行くのかと思うと、緊張して会話も上の空だった。




うまく説明できるかな?

信じてくれなかったらどうしよう……?




口数の少ないままお弁当を食べ終えたとき、背後から声をかけられた。