今夜、きみの手に触れさせて



「みんなして、って?」


「うん。北見くんの仲間や、その彼女とか。来たり来なかったり、顔ぶれは毎日変わるんだけどね、いつも10人ぐらいは入り浸ってるんじゃないかな? 矢代くんち」


「へぇ~」


「わたしもだんだん他の女子たちと仲良くなってきて、最近は北見くんの部活が終わるまで、そこで待ってたりもするんだ」


「矢代くんの家で?」


「うん」


律ちゃんは恥ずかしそうにうなずいた。




「えー、全然知らなかった」


わたしが驚くと、律ちゃんは済まなそうな顔をする。




「ゴメンね。青依はしっかりしてるから、なんか言えなかったんだ。受験生なのに何やってんのって呆れられちゃうかなって思って……」


そんなことを律ちゃんは気にしていた。




確かにね、わたしたちは中三で、高校受験を控える身ではあるけれども。