死んだのは兄貴だ。 不意の事故で突然命を絶たれて 悔しいのも、悲しいのも兄貴だ。 つらかったのも、無念だったのも兄貴だ。 オレが苦しいなんておかしい。 オレは生きているのに――。 だからオレは、 もっとずっと生きていたかったはずの兄貴の分まで、精一杯に生きなければならない。 そんなことはわかってる……。 なのに…… 三年前に兄貴が逝って以来、 オレも母親も、変わってしまった。 この世のすべてが 違ってしまった――。 時間が、あそこから動かない……。