今夜、きみの手に触れさせて



「青依ちゃんの泣く場所はここ、な」


低くそっと、ささやいてくれる。




「で、でも、骨折れてる」

「お……折れてるけど、」


泣きながら言ったわたしの返事がおかしかったのか、純太くんはプクククって笑い出した。


そうしてそれから少しの間、純太くんはわたしの髪を撫で、背中をトントンってしてくれた。




「好きなんだ……」


優しい声を腕の中で聞く。


「オレ、青依ちゃんのことが好きだよ」




やっぱり涙がこぼれて、コクコクとうなずくことしかできなかった。








「キス……イヤ?」


純太くんの声が低くささやく。


腕の中から見あげると、澄んだ茶色い瞳が遠慮なくわたしをとらえていた。


こ、こんな間近で見つめられると、やっぱり心臓がバクバクしてくる。