今夜、きみの手に触れさせて



廊下へ出ると、純太くんはこっちを見ずに、歩き出す。


手だけがヒョイと、わたしの手を引いて……。




緩く、わたしの手を覆うようにつながれた純太くんの手。


う。今頃になってドキドキしてきた。




授業が始まり誰もいない廊下。


窓から射す陽は明るくて静かだ。




れ?


左側に曲がって階段を下りるのかと思ったら、純太くんは真っ直ぐに歩いていく。


保健室は1階だから、ここで下りなきゃいけないんだけど。




「ほ、保健室は?」


「プ、行かねーだろ、フツー」


聞いたら、笑われた。




渡り廊下を行き、隣の校舎のはずれまで手を引かれていく。


その手が離れ、純太くんは突き当たりの鉄製の扉を開けて、非常階段へ出た。


「うわ、この扉、開くんだね」


「ヤスのサボリスポットな」




わたしも続いて外に出ると、非常階段の上は見晴らしが良くて気持ちいい。


裏庭の木々の緑が眼下に広がっている。


サーッと風が吹き抜け、純太くんの髪を揺らしていった。