今夜、きみの手に触れさせて



修吾くんにお礼を言って、また廊下を駆け出した。


純太くんに伝えたいことがいっぱいある。


いっぱいいっぱいいっぱい、ある。




ガラッと戸を開けて中へ飛び込むと、教室の黒板の前に純太くんの背中が見えた。


自分の席に向かって歩いていくところ。


「じゅ、純太くんっ」


思いっきり大きな声が出た。


騒がしかった教室が一瞬にして静まり返る。




「青依ちゃん……?」


振り向いた純太くんは、驚いた顔をしていた。




「は、話があるの。聞いてほしいの。きょ、きょ、」


「きょきょ?」


「きょ、今日、一緒に帰ってくれるっ?」




『え?』
『何、それ』


静まっていた教室が、途端にざわめき出す。




「バ……カ。んなこと言ったら、オレとつきあってると思われるぞ」


突き放すように純太くんは言った。


「え」


も、もう、つきあってないのかな。




「オレにホテルに連れ込まれた女だと、カン違いされるっつってんの」


そう言い捨てると、純太くんはもう背を向けて歩き出す。