今夜、きみの手に触れさせて



急いで教室へ戻る途中、階段の前で、ヌッと出てきた大きな体とぶつかった。


「キャッ」


跳ね返って、しりもちをつく。




「月島?」


「あ、修吾くん」


ちょうどよかった。


ムクッと起き上がり、修吾くんの腕を掴んだ。




「今、小川さんに聞いたの。純太くんのお兄さんのこと、お母さんのこと」


「ああ……」


急に腕をつかまえられて、修吾くんは目を丸くしている。


「純太くんが、どうして笑わなくなったのかってことも」


「……そっか」


「わたし、何にも知らなくて……。だから知ってることは教えてほしいの。わたし純太くんのこと、ちゃんと知りたい」


そう言ったわたしの顔を、修吾くんは静かに見下ろした。






「純太は……笑わなくなったんじゃなくて、泣かなくなったんだ」




「え?」