今夜、きみの手に触れさせて



「青い……ipod……」


声が震えた。




わたしが消してしまったあの曲は、純太くんのお兄さんのものだ。


同じ曲を入れ直したって、それはお兄さんが聴いていたものには戻らない。


わ、わたしは、なんてことを……。




思わず両手で口を押えていた。


でなけりゃ大きな声をあげて叫んでしまいそうだった。


取り返しのつかないことをしたわたしに、純太くんはなんて言ったんだっけ?




『いーよ、もう気にしなくて』


柔らかな笑顔が蘇った。




「い……行かなくちゃ」


「ん?」


「あ、謝んなくちゃ、純太くんに」


「月島さん?」


うわごとのようにつぶやくわたしを、小川さんがキョトンと見る。




「あ、ありがとう、小川さん。いっぱいいっぱい教えてくれて、ホントにありがとう」


そう言うと、わたしはクルッと身を翻した。