今夜、きみの手に触れさせて



純太くんのことを好きだとか言いながら、わたしはいったい何を見てきたんだろう?


少し考えれば、気になるはずだ。


どうして純太くんは不登校になったのか。
どうして純太くんは誰ともかかわろうとしないのか。


2年生のときの様子だって覚えてるじゃない。


どうして何も知ろうとしなかったの?


それどころか、わたしは、


純太くんとわたしじゃ不釣り合いじゃないかとか
つきあってたら人に笑われるんじゃないかとか、


つまんないことばっか気にしていた。


純太くんのことを本当に想っているなら、気にすることは、もっと他にあったはずなのに……。




「純太、青いipod持ってるでしょ。あれお兄さんの形見なんだよね。昔はみんなで部屋に遊びに行っても、純太はいつもひとりでぼんやりとあれを聴いてた……。

わたしたち、近くにいても何もできなくて、お兄さんの聴いていた曲だけが純太を救ってるのかと思うと、切なかったな」