今夜、きみの手に触れさせて



「純太のお兄さんが死んじゃったことを、受け止めらんなかったのは純太のお母さんも同じでね……。

おばさん、純太の首を絞めて、無理心中を図ろうとしたらしい」


「えっ」


「結局純太を殺すことはできなくて、おばさんはひとりで川に身を投げたの。すぐに助けられて、一命は取り留めたんだけどね」


言葉が……出なかった。




「純太はハイネックのシャツを着て、隠してるつもりだったろうけど、あいつやせっぽちだったから見えちゃうんだよ、首にくっきり赤く絞められた痕が……。

ずいぶん長い間ついてたっけ」


「そ……んな」




お兄さんのこと、
お母さんのこと、


そのことで純太くんの心が、どんなに深い傷を負ったのか……


わたしは想像することすらできなかった。




「あれから純太はほとんど笑わなくなったんだ……」


小川さんはとても悲しそうにつぶやいた。