今夜、きみの手に触れさせて



「純太は優しい子だったから、お兄さんが死んじゃったこと、受け止めきれなかったんじゃないかな。

だってうさぎが死んだだけで、あんなに泣くんだよ。実のお兄さんを亡くして、平気でいられるわけないじゃない」


小川さんの声が微かに震える。




「それに、それだけじゃなかったから。純太の身に起こったことは……」


そこまで言って、小川さんはハッと口をつぐんだ。


何か話してはいけないことがあるみたい。


「お、教えて。何があったの、純太くんに」


すがるように小川さんの腕を揺さぶる。




「興味本位でウワサ話にしたくないから」


小川さんはキュッと口を結んで、わたしを睨みつけた。


「興味本位じゃないよ。知りたいの。純太くんのこと、わかりたいの」


必死でユサユサと、何度も腕を揺すって、小川さんに頼み込む。




「しつこいなぁ、もう」


そんなわたしを黙って眺めていた小川さんが、やっとそうつぶやいた。


「ただの真面目ちゃんかと思ったら」



それから小さく息をつき、ポツポツと話してくれたんだ。