今夜、きみの手に触れさせて



なんかイヤなこと言われるのかな?


小川さんは無言でズンズンと、廊下を突き進んでいく。


やっぱ怖いな。胸がざわざわする。


でも、もう開き直るしかないか。


純太くんとのこと、小川さんに言われるまでもなく、ダメになりそうなんだから。


近づかないで、って言われなくても、すでに近づけない状態だし、


別れて、って言われなくても別れちゃいそうだ。




「あのさー、あんた、どーゆーつもり?」



廊下の突き当たり、今日は閉ざされている家庭科室の前で、小川さんはいきなり、まわれ右をして、わたしに言った。


「純太と別れたって聞いたんだけど」


え? 小川さん、わたしたちがつきあってること……知ってたの?




「何よ、つきあってんでしょ?」


のっけからケンカ腰で、小川さんは言う。


「あ、あの、」


「ちがうの?」




ちがうってわけじゃないけれど、でも純太くんは、もう別れたつもりでいるかもしれない。


だとしたら、つきあってはいないわけで……。




「えっと……」


「どっちなのよっ」



イラついた小川さんが大声を出したから、体がビクンってなった。