今夜、きみの手に触れさせて



「昔の純太は、悔しくても悲しくてもすぐに涙が出ちゃうやつだったけど、実は明るく笑ってる顔が一番印象に残ってる」


「うんうん」


パッと花が咲いたような純太くんの笑顔。


「それが今じゃあんまり笑わなくなって……、あいつ、壊れちゃいそうで心配だったんだ」


ちょうど別れ道の信号のところで足を止め、藤沢くんはわたしを見た。




「だから純太に……、キミがいてくれたらいいと思う。すごく」


真剣な目。


藤沢くんが本気でそう思ってくれているのが伝わってくるよ。


「あ、うん。が、がんばる」


思わずそう答えていた。




がんばりたいよ。


純太くんが笑ってくれるのなら、いくらでもがんばれる。


だけど脳裏に浮かぶのは、最後に『じゃーな』と言った冷たい純太くんの表情で、


わたしはいったい何をがんばれるのか、純太くんはそれを望んでくれるのか、


どうしてもわからなくて、立ち尽くしていた。