しばらくして――
塾が終わったのか、修吾の彼女が飛ぶように出てきて、やつの元へと駆け寄った。
プッ、めっちゃうれしーくせに、修吾はなんだか渋めにカッコつけて歩き出す。
ブッハ、いっちょ前に手なんかつないじゃってるじゃん。
心の中で大爆笑。
そして、塾終わりの人がまばらになる頃、建物から青依ちゃんが出てきた。
あ。
チャリ置き場で男に話しかけられている。
ん?
あれは……孝也か?
ちょうど街灯がふたりの様子を照らしていた。
暗闇に仲睦まじい様子がぽっかりと浮かびあがる。
狭い道路を挟んだこっちからも、その表情がよくわかった。
孝也は優しく、熱く、
そして真っ直ぐに、青依ちゃんを見つめていた。
幼馴染みだからな。
わかるよ、オレ……。
夏祭りの夜、孝也が話してくれた片思いの相手は、きっと青依ちゃんだ。
そう直感した。