今夜、きみの手に触れさせて



『案外、翠ちゃんともデキてたりして』

『下の名前呼びだったもんね』


うん……。


翠、って呼んだ純太くんの声が蘇った。




『でもさ、彼女がいても、ふたまたOKだったら、逆にウチらにもチャンスありってことだよね』


『え~、わたしはパスかな。つきあっても自分のほうしか本気じゃないなんて、悲し過ぎるっしょ』


『言えてる~』


そんなことを話しながら、御堂さんたちは帰って行った。




…………。


なんか、席から立てなかった。




「大丈夫、青依?」


一緒に帰るために席まで迎えに来てくれた律ちゃんが、眉をひそめる。


「う、うん。何でもないよ」


あわてて机に手をつき、ガタガタと立ちあがった。




「小川さんと帰って行ったよね、純太くん」


律ちゃんも気づいていた。



ってゆーか、クラスの子の大抵は気づいちゃったよね、今の。