今夜、きみの手に触れさせて



「へっ、いーの?」


小川さんがガバッと顔をあげる。


「いーけど、ヘンなカン違いすんなよ。
オレ、彼女できたし」


純太くんはそう言うと、またスタスタと歩き出した。




『なーんだ、矢代って彼女持ちかぁ』
『残念~』


後ろのふたりはがっかりしてたけど、小川さんは信じてくれたかな?


「またまた~」なんて笑いながら、純太くんの後をついていく。




『でも彼女がいても、あんま関係ないらしいよ、矢代って』


御堂さんが声を低くした。


『え、どーゆー意味』


『気が向いたら誘いに乗るし、ふたまたとかフツーだって。1年のときはそう噂されてた』




そっか、御堂さんは1年生のとき純太くんと同じクラスだったんだ。




『あの頃の矢代は教室でぼんやりしてるだけだったから、そんな噂聞いてもピンと来なかったけどね』


『へぇ~』