今夜、きみの手に触れさせて



そうして放課後――。


終礼が終わっていち早く席を立った純太くんは、後ろのほうを振り返り、声をあげた。




「修吾、今日から部活あんだろ? 先帰んぞ」

「おー」


一歩踏み出す前に、純太くんがこっちを見る。


涼やかな視線が、ほんの一瞬、わたしの上にとまった。


何か聞きたげに。




あ……。


『一緒、帰る?』って昨日聞いてくれたこと、すごくうれしかったのに


恥ずかしくて断ってしまって……。


もしかして、また誘ってくれてるの?




で、でもわたし、まだその覚悟ができてない。


あれ以来しゃべってなくて、ちゃんと説明もしていない。




自分の席で固まってしまったわたしから、スイッと目をそらして、純太くんはまた歩き出した。




ゴ、ゴメンなさい……!




そのとき――


教室にひとりの女子が飛び込んできた。


あ、あれは……?


小川翠さん。




「じゅ……純太ぁ?」


小川さんは終礼が終わったばっかの教室に入ってきて、純太くんを見て立ち尽くした。