今夜、きみの手に触れさせて



「小西」




そこへひとりの男子がやってきて言った。


「焼きそばパン買って来いよ」


「え」




その子は斉藤くんといって、目立つほうではないけれど、弱い者には強いタイプ。


一学期はいつも小西くんをパシらせてたっけ。


「今学期もよろしく~」


なんて薄笑いを浮かべ、小西くんの机にチャリチャリと小銭を置く。


「あとカレーパンとチョコクロワッサンな」






「は? 誰が食うパンだよ?」


そう言ったのは純太くんだった。


斉藤くんはその声に驚いたように顔を向ける。




「オレだけど?」


「なんで自分で行かねーの?」


「体調悪いんだよね、今日。小西とオレとは友たちだし、頼ったら悪いかな?」


斉藤くんはシレッとそう言った。




「友だちなのか?」


純太くんは小西くんのほうを見る。




「え? えっと、たぶん……」


小西くんは口ごもり、それから小さくうなずいた。