今夜、きみの手に触れさせて



お昼休み。


教室のほぼ真ん中あたりのわたしの席で、律ちゃんとランチタイム。


窓際の純太くんの周りにも友だちが集まっていた。


と、純太くんが立ちあがり、スタスタと歩き出す。


手にはコンビニの袋。




純太くんは教卓の真ん前まで行くと、ひとりでお弁当を食べる小西くんに話しかけた。




「プリン食う?」


「えっ?」


「一個、お前にやろうと思って」




驚く小西くんには構わずに、純太くんは隣の空席に腰を下ろした。




「オレさー、学校に冷蔵庫ないこと忘れてたんだよね。ぬるくなっちまったけど、ガマンして」


そう言いながら、袋からプリンをふたつ取り出して、トントンと机に置く。




「どっちがいい? 牛乳プリンと普通のプリン」




『席を替わってもらったお礼かな?』


横で律ちゃんがささやいた。




わたしたちの席から、純太くんたちの様子は丸見えで、会話までしっかりと聞こえてくる。