はっ。
隣を見ると、矢代くんはもうとっくにアイスを食べ終え、こっちを向いて待機中。
「うまそーなのに、それ」って、
わたしのカップにいっぱい残っているアイスを見てつぶやいたんだ。
わわっ。
どアップのその顔にあわてふためき、わたしはとってもヘンな発言をしてしまった。
「あっ、ひと口いる?」
バ、バカ……!
いつも友だちと一口ずつ食べさせ合いっこするから、思わず口走ってしまったんだけど、
矢代くんがわたしの食べかけなんて、いるわけないじゃん。
「ん。いる」
なのに矢代くんってば、平気でそう言うと無邪気に口を開けたんだ。あーん、って。
うそでしょ……?



