「さ、三年」
答えたあとで、ドッと落ち込んだ。
やっぱわたしのことなんか、この人の頭のどこにも記憶されてはいないんだ。
『去年一年間、同じ教室で過ごしたんだよ?』
『今だってクラスメイトなのに』
そんな言葉はやっぱり飲み込み、わたしは黙々とアイスを食べ続けた。
これを食べたらさっさと帰ろう。
家に帰ってご飯食べて、8時から塾だし。
今日はもうホントに疲れた……。
身のほど知らずなことをした罰かな?
矢代くんがわたしを紹介してほしいだなんて、思うわけないのに。
明日小川さんに話して誤解を解こう。
存在すら知られてないのに、つきあってると思われるなんてイタ過ぎる。
そんなので恨まれるとか、割が合わないよ。
「いらねーの?」
物思いにふけっていたら、不意にそう聞かれた。



